HDD 完全消去 Windows標準搭載 コマンド 【cipher】 捨てるとき、譲るとき

HDD 完全消去 Windows標準搭載 コマンド 【cipher】 捨てるとき、譲るとき

個人PCを数台HDDから、SSDに換装して、かなりの日数経ちますが、古いHDDを全く使う予定がなさそうなので捨てることにしました。そこで捨てるときに気になるのが、中身のデータが完全に消えているかどうかだと思います。ということで、今回はWindowsに標準搭載されている『cipher』という機能を利用し、HDDを完全消去した時の備忘録。

※完全消去というよりは、イメージとして、使用していたHDDにデータを上書きし、元のデータにアクセスできなくする方法です。

私のHDDの捨て方は、

  • 『cipher』でHDDを完全消去 ※その他のアプリケーションで消去することもあります。
  • HDDを分解し、内部の記録している円盤(プラッタ)を物理的に破壊
  • 住んでる地域の不燃ごみに出す

と、始める前に、『cipher』は無茶苦茶、時間がかかることだけは覚悟してください。私の環境で3TBのHDDに対し『cipher』実行で、17時間かかりました。

『cipher』の特徴

『ciper』は、Windows標準搭載の、『コマンドプロンプト』から実行可能な、コマンドになります。

『cipher』の特徴は、『NTFS』でフォーマットされた、HDDの空き容量部分に、3回データを上書きします。まずは、『0(0x00)』、次に『1(0xFF)』、最後に『乱数』を書き込みます。

ということで、今回はHDDを捨てる前提で、まずHDDを『NTFS』でフォーマットしなおし、『cipher』でデータを3回上書きします。

HDDをNTFSにフォーマット

以下の作業で、HDD内のデータはすべて削除されますので、必ずバックアップを取って作業を行ってください。

上にも書きましたが、『cipher』は、NTFSでフォーマットされたHDD(SSD)の、空き容量部分に対し、データを上書きします。よって、HDDを捨てる前提では、NTFSフォーマットされた空の状態にする必要があります。

1:エクスプローラーを開き(ショートカットは、『Windowsキー』+『E』)、捨てるHDDを右クリック

捨てるHDDをクイックフォーマットにて、中身を空にし、NTFSでフォーマットする方法。

※エクスプローラーを表示した時に、HDDが表示されず、『クイック アクセス』が表示される場合は、左側の『ナビゲーションウィンドウ』のHDDを右クリックしても問題ありません。もし、『クイック アクセス』が表示されるのが嫌だ。という方は、こちらで切り替え方法ご紹介していますので、ぜひ。

2:コンテキストメニューの『フォーマット』をクリック

HDDを右クリックし、表示されるコンテキストメニュー内の、『フォーマット』をクリック

3:フォーマットウィンドウが表示されるので、『ファイル システム』プルダウンメニューより、『NTFS(規定)』を選択
4:『フォーマット オプション』の、『クイック フォーマット』にチェックを入れる
5:『開始』をクリック

『ファイル システム』から『NTFS(規定)』を選択。『フォーマット オプション』内の『クイック フォーマット』にチェックを入れ、『開始』をクリック

6:別窓にて、『データ全部消えちゃうけど大丈夫?』と聞かれるので、『OK』をクリック

警告が表示され、データ全部消えますよ、と言われるので、『OK』をクリック

以上で、今回捨てるHDDのデータが(表面上、エクスプローラー上から)消去され、NTFSにフォーマットされました。『フォーマットが完了しました。』ウィンドウが表示されるので、『OK』をクリック。

cipherで、HDDにデータを上書き

続いて、『cipher』コマンドで、データを上書きしていきます。

1:エクスプローラーで、捨てるHDDの『ドライブ文字』を確認する

エクスプローラー上で、ドライブ文字を確認する。
エクスプローラーの表示ショートカットは、『Windowsキー』+『E』を押下

2:『検索』に、『cmd』と入力
3:検索結果に『コマンドプロンプト』が表示されるので、クリック

Windowsの検索に『cmd』を入力すると、検索結果に、『コマンドプロンプト』が表示されるので、クリック。

4:『コマンドプロンプト』が起動するので、『cipher /w:d:』と入力し、『Enter』を押下

※今回は『cipher /w:d:』と入力しましたが、『d』は先ほど確認した、ドライブ文字になります。捨てるHDDのドライブ文字に置き換えて、入力してください。

コマンドプロンプトが起動するので、『cipher /w:[ドライブ文字]:』と入力し、Enterを押下。

『cipher』が開始されるので、ひたすら待ちます。めちゃくちゃ時間かかります。

『cipher』を実行すると、まず『0』次に『1』最後に『乱数』をHDDの隅から隅へ書き込んでいきます。よって、無茶苦茶時間かかります。
私の環境で、3TBのHDDを『cipher』した場合(USB3.0接続、外付けHDD)、17時間かかりました。

3回上書きされると終了です。終了すると下記画面になります。

終了すると、コマンドプロンプトを起動した時と同じ、ユーザー名が表示されます。

終了し、HDD内を確認すると、空の『EFSTMPWP』フォルダが作成されていると思います(場合により、『cipher』終了後に自動削除される事もあるみたいです。)。『cipher』実行中は、このフォルダ内に『一時ファイル』を作成し、データを上書きしています。よって、『cipher』終了後、『EFSTMPWP』フォルダは削除してもまったく問題ありません。

『cipher』終了後、『EFSTMPWP』フォルダが残っている場合は、削除してまったく問題ありません。

以上で、HDDの完全消去(データの上書き)終了です。

途中で中止

HDD容量が大きいと、とてつもなく時間がかかりますので、途中で中止したくなることもあると思います。

その場合は、『コマンドプロンプト』ウィンドウをアクティブにした状態(クリックするとアクティブになります。)で、『ctrl』+『 C 』キーを押下すると、中止されます。

中止したい場合は、『コマンドプロンプト』上で、『ctrl』+『C』で中止。

注意点

・何度も言いますが、『cipher』は、空き容量部分にデータを上書きして、古いデータの復元ができないようにする仕様です。よって、HDD内にデータが残っている状態(エクスプローラーからファイルが見えている状態)で、『cipher』を実行しても、そのファイルは削除されませんので、ご注意ください。

・逆に言えば、『ドライブ文字』を間違えて『cipher』を実行しても、焦ることはありません。存在しているデータは削除されませんので、落ち着いて中止し、間違えたドライブの直下にある『EFSTMPWP』フォルダを削除すれば、まったく問題ありません。

・HDDを一度スッキリさせ、もう一度自分で使用する時は、わざわざ『cipher』を実行せず、こちらを試してみてください。

まとめ

今回は、HDDの完全消去(3回上書き)できる、コマンド『cipher』を試した時の備忘録でした。

SSDの価格が、かなりお求め安くなってきましたので、古いPC数台のシステム用HDDをSSDに換装しましたが、500GBくらいの、特に2.5インチHDDの使い道がなくなりましたので、『cipher』を実行し、捨てました。

捨てました、と書きましたが、意外とHDDの捨て方がわからず困りました。私が住んでいる地域では、ポータブルHDDは小型家電として、特定の場所にもっていくと引き取ってくれるのですが、『ポータブル』の定義って何ですかね。役所に、しつこく確認すると、結局『不燃ごみ』で、と言われましたので、不燃ごみとして出しました。

お住まいの地域により、処分方法に多少違いがあるようなので、確認してみてください。

最後に、正確に言うと、私は、『cipher』を実行した後に、HDDを分解し、内部の記録している円盤(プラッタ)を物理的に破壊し、捨てました。

『老人も、この辺の人間が自分の物を盗むことなどないと信じてはいたが、手鉤や銛を船に残しておくと人の出来心を不必要に誘いかねないとも思っていた。』アーネスト・ミラー・ヘミングウェイ『老人と海』より。